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Whatever②
食べ終わった後ホテルに行くと、真木は色々注文つけてきやがった。真木はネコだったが
『バックはナシ』
と言ってきた。手が塞がって意思表示ができなくなるそうだ。同じ理由でハグもナシ。手が空けばいいみたいだけど。
『他は?』
ベッドの上で下着だけになって筆談を続ける。真木は少し恥ずかしそうに書き込む。
『声デカイけどいい?』
もうめんどくさくなって丸だけ書いた。
「もうない?」
もはや口で聞きながらメモをペンでつつく。
真木はOKと書いてから、メモとボールペンをベッドの隅に追いやった。
あーあ、やっとセックスが出来る。
真木の身体を引き寄せて、首筋を甘噛みする。早速、真木の鼻からEの音が抜けた。身体に跡をつける度小さく声が上がる。感じやすいタイプかな。
腰や内腿をなぞると、小さく身震いし掠れた声で啼く。やっぱそうみたいだ。
ペニスも乳首も触ってもいないのに勃ち始めている。
わざとソコを触らずに色んなとこを手や口で触ってみた。
「耳触っていい?」
耳元で言うと、真木は薄っすら水を溜めた目を向ける。答えずに眉を寄せるだけだ。
ああそうだった、クソ。
指先で軽く耳朶を触ると、慌てて手を払ってきた。
やっぱまずいか。
代わりに顔の輪郭やこめかみに舌や指を這わせる。
その音も捕らえたようで、補聴器から砂嵐のような音が微かに聞こえた。
あ、自分で抜こうとしてるな。
真木の手がペニスに伸ばされた。もう雫が何本も伝っている。手を掴んで止めてやった。
もう泣きそうな顔で首を振る真木に、首の後ろがゾクゾクした。
まあこれくらいにしとくか。俺も挿れたいし。
手を離して、後ろの孔にローションを塗った指を入れていく。解放された真木は夢中で性器を擦っていた。
中に入るにつれて真木の背中がしなって声が大きくなっていく。2本目が全部入ったあたりでイッてた。
ちょっと早いけど挿れようかな。
中をぐるりと一周させてみるとそんなに抵抗なく指の形を受け入れた。多分いける。
ゴムをつけたペニスを入れていくと、声を出し続ける真木の腹に腹筋の形が浮かびあがった。腹から出てるみたいでよく響く。
あー、確かにちょっとうるさいかも。
「うるさ」
あ、聞こえないんだった。
手で真木の口を塞ぐ。真木はこっちを見て、ちょっと眉を下げると頷いた。
俺が動くたびに出てこようとする声を手の甲を当てて喉の奥に押し込めている。でもそのうち弾かれたように手を離してシーツを鷲掴んだ。
「あ、もう、でるっ・・・」
全身を痙攣させ、白い液体を俺と自分の腹に飛ばした。
真木がイッた後、もう少し頑張ってもらって中で出した。普通に気持ちよかった。なんとかなるもんだな。
『うるさかった?』
真木はスマホを見せてきた。頷くと、ごめん、と照れ臭そうにしていた。けれどもすぐニコリと笑う。
『気持ちよかった。思い切り声出せたし』
発音にかなり気を使うらしくて、考えなしに声を出すとスッキリする、とスマホで伝えてきた。絶叫マシンとかお化け屋敷とかもよく行くらしい。リア充め。
『セックスできるのって聞かれた時帰ろうと思った』
おっと。ヤバかったな。ペンを走らせる。
『ごめん。怒った?』
『たまに聞かれる。俺も男だぜ』
真木のスマホを叩く音が強くなる。
『そりゃそうだよな』
メモを差し出すも、スマホに釘付けでこっちを見ていない。
『俺だってセックスしたいよ』
『すげえわかる』
それは共感せざるを得ない。頷きにも力が入る。
『もう一回する?』
そう書いて、真木の肩を叩いてメモを見せた。スマホを叩く音が止む。
顔を上げた真木はナイフで削り出したような険しい顔をしていた。メモを見ると、ふっと顔の力を抜いて、少し微笑んで、向こうからキスしてきた。
そういえば今日はキスしてなかったな。
そんな事を思いながら、真木の身体に、ああそうだ。手を塞がないように、腕の下を通って背中に手をまわした。
やれやれ、本当に手間のかかるヤツだ。
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