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第四章・6

 放課後の天宮司邸で勉強とジムでの運動を終えた駿は、医務室を訪れた。  以前、駿の健康診断をしてくれた医師のいるところだ。 「あの。僕、発情期がまだなんですけど」  いつ頃来るんでしょう、という駿の質問に、医師は笑った。 「いや、笑ってすまない。Ωの君にとっては、重要なことだね」  体つきもしっかりしてきたし、年齢的にもそろそろ、といったところか。  それが、医師の見解だった。 「体調がいつもと違うな、と思ったら、これを服用しなさい」  渡されたのは、篠崎が見せてくれたようなカプセルに入った薬だった。 「発情抑制剤だよ」 「はい」

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