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第八章・17
二人で抱き合い、しみじみと思いを巡らせた。
痩せて青白い顔をして。
あろうことか、間違いのラブレターなど私によこした、貧しいΩ。
そんな駿は、いまや新生徒会役員の副会長だ。
今も、堂々と自分の権利を主張した。
もう、私が卒業しても、この学園からいなくなっても、しっかりやっていけるだろう。
卒業。
3月2日が、卒業式。
伊織さまは、ここから、この学園からいなくなる。
僕の傍から、離れてしまう。
大丈夫かな、僕。
ちゃんと、やっていけるかな。
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