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第八章・16
その後の展開は、実にスムーズだった。
なにせ、火曜日と金曜日の取っ組み合いを見てしまったのだ。
廊下に控えていた他の従者は、伊織にチョコやプレゼントを渡すと、早々に退出していった。
「終わった……」
最後に日曜日の少年が去り、駿は大きく息をついた。
伊織は、歪んだ顔をして必死で笑いをこらえている。
「伊織さま!」
「すまない! だが、まさか君がこんな行動に出るとは思いもしなかったのでね!」
そして、駿を抱き寄せた。
「泣きじゃくる君を、どうやってなだめようかと思案していたんだ」
真顔に戻った伊織は、駿の頬に手を寄せた。
「本当に、強くなったものだ」
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