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第八章・15

「よくも……ッ!」  生まれて初めて人に叩かれた火曜日の少年は、逆上して駿にとびかかって来た。 「やめてください!」  揉み合う二人の間に、ようやく伊織が割って入った。 「二人とも、解ったから! もう争いはやめたまえ!」  はぁはぁと息を荒げた二人を、廊下から他の従者が何事かと覗いている。 「二人とも、私の大切な従者に変わりはない。さ、これを受け取り給え」  火曜日の少年に、黒い包装紙に金のリボンがかかった箱が渡された。 「卒業式は、3月2日だ。ホワイトデーにお返しができないからね。今、渡しておくよ」 「ありがとうございます、伊織さま」  まだ何か言いたげだったが、火曜日の少年は生徒会室を出て行った。

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