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第八章・14

「伊織さまへの想い、確かに見届けました。では、お引き取りください、火曜日の人。今日は、金曜日です」  その言葉に、伊織も火曜日の少年も、眼を円くしていた。  まさか、彼の口からこんな言葉が飛び出そうとは! 「ふん。噂の成金、貧困Ωか」  火曜日が、挑発してきた。 「その手で、他の人にもチョコを渡すんでしょう? 火曜日の少年」  駿も、負けてはいない。  しかし、途端に頬を張られた。 「生意気を言うな!」  暴力は嫌いだ。  だが、ここで引き下がるわけにはいかない。 「ホントの事でしょう!」  駿もまた、火曜日の頬を引っ叩いた。

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