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第八章・13

 制服の袖の上から腕を噛み、駿は涙をこらえていた。  そこへ、再び室内へ人が入る気配が。 「伊織さま、私です」 「火曜日の少年、か」  駿は思わずその場へ飛び出していた。  以前の彼なら、しくしく泣いてやり過ごす所だ。  だが、伊織と愛情を交わし続けた駿は変わっていた。  そのまま、何食わぬ顔をして伊織の傍に立つ、駿。  その姿に、火曜日の少年は少々驚いたようだったが、すぐに不敵な笑みを浮かべて伊織に視線を戻した。 「これを、お受け取りください。ピエールマルコリーニです」 「うん、いいね」  伊織がチョコを受け取り、それ以外のプレゼントを開け、ある程度の会話を終えたその時、駿が初めて口を開いた。

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