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第八章・12

 駿は、そこでようやく気が付いた。  自分を除く6人の従者が、今から入れ代わり立ち代わりやって来る。  そして伊織に贈物を渡し、イチャイチャして、とどめにキスをかまして行くのだ! 「嘘……」  頭では解っていたはずだった。  伊織の愛情は、自分だけのものではないということを。  7人の従者に、平等に与えられているということを。 『進路は選べるが、駿は選べないからね。この世でたった一人の、大切なパートナーだ』  こんな素敵な言葉をくれた、伊織さま。  その真心に、嘘偽りはないと信じている。  でも!  だけど!  駿は激しい嫉妬を味わっていた。

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