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第72話
***
「暁、寝るにはまだ早いよ」
「うっ…んぐぅっ!」
ようやく意識を断ったというのに、すぐに現実へ引き戻される。陰嚢を襲う痛みにすら、鋭い愉悦を覚える自分は、いよいよおかしくなってしまったかもしれない……と、ぼんやり思った。
「良く効いてる。こっちもヒクついてるし……暁、ここにも欲しい?」
「……しい、ほしい」
何を指して、『良く効いている』と言ったのかとか、そんな疑問すら浮かばない暁は、後孔に触れた彼の指先へすり付けるように腰を浮かせる。
「はしたないよ」
「やっ、あうぅっ!」
ペニスをバシリと平手で叩かれ、目の前が赤い色に染まった。
「いだっ、いたいっ!」
「でも萎えてない。ホント……淫乱な体」
「やぁっ、ゆい……うぐぅっ!」
悲鳴に近い声を上げれば、口内へと指が数本押し込まれ、頭を振って逃げようとするが、「舐めろ」と低く命じる声に、体が竦んで動けなくなる。
「んっ……ん」
「暁の幼なじみ、前原樹って言ったっけ? 二人きりで会ったの、何で俺に黙ってるのか教えて」
「ふっ……ぐぅっ」
何故それを彼が知っているのかと暁は不思議に思うけれど、愉悦に呑まれた頭はそれより深く考える事ができない。
「答えろ」
「……んで、唯が知ってる……うぅっ!」
暁の答えを促す声と同時に指が引き抜かれたから、喘ぐように言葉を紡ぐが、それに対する答えは無い。
「聞かれた事に答えろ」
「あっ……あぁっ! 止めっ、動か…ないで!」
ブジーを上下に抜き差しされて、暁はまた空で絶頂を極める。立て続けに注ぎ込まれる快楽に、涙腺は決壊し、視界がぐらぐらと揺らめいた。
「……バイト先に来て、迷惑になる……から、一回だけ、話聞くって……」
「へえ、それで?」
「全部、誤解で……樹、俺ともう一度、友達、なりたいって……」
「そう……で、俺に言わなかったのは、なんで?」
「言わなくて……ごめん。ちゃんと、自分で……考えたかった。だから、あっ、くうぅっ!」
自分で自分が何を言っているのかさえも覚束ない。なのに、暁の思考を遮るようにアナルへ指が突っ込まれ、ようやく食む物を得たそこが、はたたなくもヒクリヒクリと伸縮した。
「トモダチになるのはダメ」
「ひっ…くぅっ!」
「分かった?」
「……やっ、うぅっ……」
こんなのはまるで拷問だ。快楽によって思考を奪われ、唯人の意のままの言葉を紡ぐ。常でさえ、否を言うことは許されないのに徹底的に堕とされる。
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