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第176話
「暁は、俺が叶多の話をすると胸が痛いって言ってたけど……俺だって同じだ」
泣かせたい訳ではないから、あやすように背中をさすり、啄むようなキスをしながら「だってそうだろう?」と囁きかけた。
唯人は暁が叶多と会うのを禁止していない。
本当は……自分以外の人間と深く関わって欲しくないけれど、叶多と暁が接点を持つよう仕組んだ経緯がある手前、もう会うなとは言えなかったし、なついている暁を見ると無理強いするのも憚 られた。
「別に、暁と叶多の間に何かあるなんて思ってないけど、俺よりも叶多に心を開いてるって思えば嫉妬するし、意地悪だってしたくなる」
「え? でも……だって、唯は……」
「もう終わってるって何度も言ってる。それでも分からないって言うなら、いい加減……怒るよ」
言葉の意味とはほど遠い甘い声音でそっと告げながら、腰を掴んで華奢な体を少しずつ持ち上げていく。
「あ、あ……や、やだっ」
ペニスが抜けそうになったところで、体を捩って抵抗するが、それを無視して最後まで抜くと、「なんで?」と喘ぐ暁の唇をペロリと舐めてからキスをした。
「欲しいなら、自分で挿れてごらん」
我ながら意地の悪い行為をしている自覚はあるけれど、それでも止められないのだから、質 は悪いが仕方ない。
「できないなら、終わりにするけど」
「やっ……あ、くぅっ」
根本を戒められた上、勃ち上がり、先端からは蜜を垂らしている暁のペニスを指先で弾き、それを緩く扱いてやれば腰がカクカクと前後に揺れた。
「やる、やるから……」
「いい子だ」
「んっ……くぅっ」
耳朶を噛んでから甘く告げると、悦ぶように体が跳ねる。
首から離れた暁の両手が、探るように唯人のペニスへと辿り着き、それをおずおずと掴むまで、じれったさを感じながらも何もせずに見守った。
確かめるように触れる掌がくすぐったくてたまらないが、暁のすること全てが可愛いく思えるのだから既に末期だ。
「うっ……ん」
ようやく照準を合わせた暁が、腰を少しずつ落とはじめる。
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