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第1話
玄関を開けると賑やかな笑い声が飛び込んできた。テレビから聞こえる大声に混ざって雪華 の笑い声が聞こえてくる。
「外まで漏れてますよ」
呆れたように部屋に踏み込むと案の定雪華はコタツに潜り込んで、お笑い番組を見ている。ひょいっと長い腕が伸びてコタツの上のミカンを取った。ペットボトルとお菓子が取りやすい場所にセッティングされ、快適なコタツライフを満喫している。
「ほはへいー 」
「みかんを口に入れたまましゃべらなくていいから」
重たい荷物をテーブルに置いて冷蔵庫を開けた。さすが冬だけあって食材はカスカスだ。青白いライトが広く灯っている中にビールだけがきれいに整列している。
「ビールだけ増えてる……買い物に行くなら教えてくださいよ。こんな吹雪の中にわざわざ出かけた俺がバカみたいじゃないですか」
思わずこぼしたグチを漏れなくキャッチして雪華は文句を垂れた。
「だって重たいのヤじゃん」
「ビールも重たいと思いますけどね」
「それは価値のある重さ。それにお前が俺を食わせてくれるって信じているしね」
小さく透き通る白肌に落ちる長いまつげをパチンと瞬かせて雪華は綺麗なウインクをよこした。長い銀髪がユラリと揺れる。黙っていれば信じられない美貌なのに、このだらしなさでは半減する。
晃成 は気のない返事を帰して、うんとこ運んだ荷物を冷蔵庫に突っ込んだ。
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