2 / 23

第2話

 お笑い番組に飽きたのか適当にチャンネルを変えていた雪華はニュースに突き当たると、リモコンを動かす手を止めた。コタツから身を乗り出して音量を上げる。吹雪く風の音がテレビから聞こえてきた。  リポーターの興奮気味な声が晃成まで届く。 『なんだよ、あれ』  風の音に負けないような大声。  深い雪に覆われた山の中。吹雪の中を突き進む数人の男性が、慌てたように声を上げている場面が流れている。興奮する声色。ガサガサと服がこすりあう音。 『おい。待て!!』  膝より上まで雪に埋もれながら何かを追いかける緊迫感が伝わってくる。 『雪男……?』 『消えたぞ』  その後グルっとカメラを回しても何も映らず『なんだったんだ』という呟きで画面が変わった。明るいスタジオに切り替わりニュースキャスターが真面目な顔でコメントを述べている。 『こちらは今ネットを駆け巡っている動画ですね。〇〇市付近の山奥で撮影されたようです。謎の生物は一体何だったのでしょうか』 「未確認生物の雪男は本当に存在しているのか…だって」  キャスターの言葉をそのまま拾って雪華は不貞腐れたように唇を尖らせた。 「俺より先にテレビデビューですか。晃成サン」 「そういう問題では……」  もう一度流れた映像を見つめながら晃成は体を固くした。たぶん、というか間違いなく画像に映っていたのは晃成だ。どこから見られていたのか、全く気がつかなかった。 「こんな辺鄙な場所まで何しに来たんだか。映すならこの超絶美形の俺だろっての」

ともだちにシェアしよう!