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第3話
ブツブツとこぼす雪華を後目に晃成はチャンネルを回した。他にもやっていないだろうかと確認する。
荒れ狂う吹雪の中で買い物に出たのがまずかったのだろうか。こんな天気じゃ誰も外に出ないだろうとわざと出かけたのが裏目に出たのか。油断した。前どころか上も下もわからなくなる視界の悪さでよく見つけたもんだ。
「いま流行りのユーチューバーってやつ? まあこれ以上はどうにもなんないでしょ」
雪華は興味もなくなったと言わんばかりにふわあっとあくびをすると、もう一度コタツに潜り込んだ。すぐに規則正しい寝息が届く。
寒くないようにと肩のあたりにもう一枚毛布を掛けると、晃成はタブレットで動画サイトへとアクセスした。アップされた動画はかなりの数の再生がされ、コメント欄ではいろんな憶測が飛び交っていた。
他のサイトも見てみると最大限まで引き延ばされた晃成の姿が載せられている。お気に入りの黄色いショッピングバックだけが華やかに光る。ぼやけた緑は長ネギだ。
数歩先も見えないくらいの吹雪の中だからこの程度の写真で済んだ。これでは個人を特定されることはないけど、性能のいいカメラならしっかり写されてしまったかもしれない。
まずいな、と晃成は唇をつまみ上げた。静かなこの場所が騒がしくなるのは困る。しつこい輩はどこまでも食いついてくる。このまま諦めるとは思えなかった。
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