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再現

 「わすれてもうたから……さいげんしてみようや」 「イヤ」 「写真撮らなきゃならないでございましょう。より良いイラストと文章にもご協力くださいませ」 「絶対イヤ!」 今はどういう状況かというと。 真昼の部屋に移動してきた僕らは新たなシーンのアイデア出しをしていたんだけど。 そのシーンというのが夜彦と真昼に僕が吸血されているところ。 だから、それを再現という口実で血を吸いたい真昼と夜彦、阻止するために僕をバックバグをしているようちゃんという構図なんだ。 大人っぽいっていうのがようちゃんの第一印象だったんだけど、独占欲がすごくてワガママなのが目立ってきている。 でも、ますます好きになるんだ。    「じゅあ、俺が再現してあげるよ」 甘く低い声が聞こえてすぐ、首の後ろに痛みが走る。 ペチャ、ペチャ 真昼の吸い方にそっくりでびっくりしながらも、むくむくと湧いてくる快楽に身体が捩れる。 「アッ……アアッ!」 『あっ、おきたぁ?』 大きいアーモンドの瞳で僕を見ながら舌舐めずりをした後、大きい前歯を見せて笑う真昼の顔が頭に浮かんだ。  ぺッ……チャッ! 「アアアッ!」 惜しげもなく、僕は声を上げた。  チュッ……チュッ…… 「ア、ンぁ……アン!」 絞り出すように吸いだしたのも同じで、僕は為されるままに乱れる。 『わたくしのこと、お忘れでごさいませんか?』 頭の中の夜彦がそう言うと首を強く噛み、ジュッと吸われた。 「アッ、アハッ……ァ」 ゴキュ、ゴキュ 喉が締まるように苦しくなる吸い方はもう夜彦だ。 オレンジ色の前髪を後ろにして真ん中を膨らませたミディアムの髪型で目元と口元が三日月状になっている夜彦の顔を思い出した。 「アッ……アぁ、ハっ……ぁ」 快楽に溺れていく僕はもう怖くはなかったんだ。  「やららわやや」 首の後ろに流し込まれたエネルギーは僕の意識を浮上させた。 ゆっくりと目を開くと、メガネをつけてサラサラと描いていく真昼とぶつぶつと呟きながらメモをとる夜彦の姿があった。 「ゆーたんの記憶からスキャニングしたから写真もいいよ」 優しく抱きしめて、ふふっと笑うようちゃん。 「かわいすぎる……ヤバい」 ボソッと呟いたようちゃんにドキドキが止まらなかったんだ。

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