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第1話

「今日、最もアンラッキーなアナタは天秤座のアナタ! でも、がっかりしないで!! ラッキーパーソンは舎弟。その人が幸運を運んできてくれるよ!!」  なんていう音声が静謐さのある雨宮家に似つかわしくなく響く。何でも、他称ヤンキー・梅木原が毎日、何気なく見ている朝の番組で、つい最近、雨宮グループの御曹司・雨宮も見始めたという。 「ラッキーか、アンラッキーかはあまり当たらないけど、ラッキーアイテムやラッキーパーソンはなかなか当たっているみたいだよ」  と、雨宮は執事である折笠賢聖(おりかさけんじょう)が淹れた紅茶を口に運びながら、口にする。本日、最もアンラッキーだと宣告された天秤座の折笠は「舎弟」と言われ、梅木原の舎弟の香井亜嵐(かがいあらん)や、梅木原を呼びに無月高校へ行った時に対峙した舎弟の面々が思い浮かぶ。 「まさか……それよりも、本日は午後から大雪になりそうですね」 「そう、みたいだね。今日は学校が終わったら、梅木原君達と集まって、旅行の計画を立てようと思っていたのに」  心底残念だと雨宮は紅茶の入っていたカップをソーサーへ置いて、席を立つ。 「まぁ、どの程度、降るかまでは分かりませんし、今回は残念ではありますが、中止した方がよろしいでしょうね」  折笠はカップの載ったソーサーを持ち上げると、「これからどのようになさいますか?」と聞く。本来であれば、高校生である雨宮は折笠と共に、青水学園へ通う。それが終われば、自分を磨く為の芸事に精を出したり、最近では梅木原や香井とのひと時を楽しんでいたりしていた。 「うーん、学校も休校になってしまったらしいし、梅木原君に今日は中止しようって連絡したら、大人しく本でも読むことにするよ。折笠君も良ければ、一緒にどう?」 「ええ、喜んで。それでは、新しいお茶を用意して、お部屋の方へお持ちいたしますね」

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