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第13話
「そうだ。今日は梅木原君にも泊まっていってもらいましょうか! 旅行前の予行演習ということで」
旅行前の予行演習と称された旅行計画会、もとい、雨宮家でのお泊り会を開く為、折笠は準備するという名目で部屋を出ていく。
部屋を出て、クリーニングルームへ向かうと、アイロンがけに精を出す家政婦長の芙美がいた。
「香井様と梅木原様のお2人がお泊りになられるとのことですね」
「それで、申し訳ないのですが、芙美さんは食事の用意をお願いいたします。梅木原様は特に好き嫌いはなく、香井様は焼きそばとか、オムライスとかを希望されていましたが、できそうですか? ベッドメイクの方は私の方でしておきますので」
「かしこまりました。オムライスも焼きそばも姪っ子や甥っ子達の大好物なんですよ。お任せください」
と、折笠が芙美と話をしている中、正司が現れる。
「折笠さん、ゲストルームのベッドメイクは私がしておきますよ」
「正司さん!」
正司は素早くクリーニングルームからシーツを取り出すと、「何番のゲストルームをしましょう」と聞いてくる。
「えーと、No.2のゲストルームとNo.3番のゲストルームを……って、私がやります」
と折笠が言うと、正司は雨宮達のいるリビングルームの扉に視線を送った。
「折笠さんには別のお仕事があると思いますよ」
「えっ……」
食事の用意も既に、芙美へ依頼して、自分がやろうと思っていたベッドメイクも正司がすると言われ、手持ち無沙汰となってしまった折笠は雨宮達のいる部屋を開ける。
そこには、賑やかに話をしているものの、なかなか旅行の計画は進んでいっていないであろう3人がいて、「話が進まないんだ、折笠君が戻ってきてくれて良かった」と雨宮が笑う。
雨宮が微笑んでいる先には大きな窓があり、先日の大雪が嘘のように青く晴れた空が見えていた。
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