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第12話
「さて、みんなはどこに行きたいかな?」
雪も日陰のところ以外は溶けて水になっていった後日、雨宮家の一室に雨宮の言葉が響く。というのも、あの大雪の日に中止した予定通り、互いに親睦を深める為の旅行の計画を立てるためだった。
それに続いて、香井と梅木原が答える。
「俺は煌先輩にどこまでもついていきます」
「うーん、泊まっても1日くらいが良いんじゃないか? 俺は何日でも金さえ都合つけば良いけど、茶の稽古とかもあるだろうし」
香井と梅木原が答える……いや、厳密には雨宮の問いには答え切れていないが、各々を思い合っての答えだった。
「お金はこちらが持つから何日か行けるなら、海外もアリかな?」
と、雨宮が悩むと、そこへ折笠が人数分の紅茶の入ったカップとを持って、部屋へと入ってくる。
「随分、賑やかですね」
アッサムでございます、と折笠はそれぞれに紅茶の入ったカップとミルクや砂糖を置く。国内の旅行に加えて、海外旅行も視野に入れ出した雨宮はアメリカの都市やヨーロッパの国名を幾つか書いていた。
「聡明様、おそらく雨宮グループ、折笠グループの方でホテルや航空機は手配できると思いますが、まずは日程を決めた方が良いかと思われます」
「あ、それもそうだ。やっぱり、春だから3月になるかな? 3月の20日から10日くらいで、何か国か、回るのも良いなぁ。あ、でも、桜のシーズンだから桜も良いかな?」
と、話は弾み、あっという間に日が暮れていく。
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