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第7話

「……いいのか?」  ただ泊まるだけじゃなくて、そういう意味でいいのかと神妙に問う俺に、風花はこくんと頷く。 「こんな風に俺のこと認めてくれる人、初めてだから。篠目のこと、もっと知りたい。それでもっと好きになりたいし、なってほしい」  寒さに鼻を赤くさせながら、とても柔らかく、そしてちょっと恥ずかしそうに笑う風花。  ……好きになって良かった、なんて言い方をしたら偉そうかもしれないけれど、それでもやっぱりめげずに風花を誘い続けて良かった。こんなにも好きになれる人に出会えるなんて、俺はなんて幸せ者だろう。見てみろ。雪も祝福するみたいに舞っている。 「じゃあ、はい」  手のひらを上に向けて差し出すと、風花は素直に手を載せてくれた。一方的じゃなく、お互い同じ気持ちだという合図。  だからそのまま力強くその手を握った俺は、風花と一緒に雪の中へと一歩を踏み出した。  ここに辿り着くまでの俺の悪態を許してくれ、雪。お前のおかげで俺は最高の一日を手にした。  その後。  大事に大事にいただいた自称雪男の体は本当に雪のように白く綺麗で、そして信じられないほど熱く俺を迎え入れてくれて、気持ちよすぎて俺が蕩けそうだった。  その後のシャワーも寒さを理由にくっついたままで入ったし、肌をピンクに染めた風花がエロ過ぎて風呂の中で求めてしまったせいでのぼせさせてしまったりもしたけれど。  風花が意外と表情豊かで寂しがりやなことを知ったり、自分が思っていた以上に独占欲が強くてがっつく性格なんだってことを知ったり、とにかく新発見ばかりの時間を過ごした。  そんな風に近づくことができたのはやっぱり雪のおかげで、だからたとえ偶然だとしても、風花が雪男で良かったなんて笑えるようにまでなった……ところまでだったらめでたしめでたしで終われた話だったんだけど。 「うわーお」 「ごめん……」  外に出た途端、正しくは出ようとした途端広がった周りの景色に思わず声を上げる俺。横で申し訳なさそうに縮こまる風花。   風花の雪男法則で行くのなら楽しければ楽しいほど雪が降るんだから、情熱的に愛し愛されしたらそりゃあこうなるって予測できたのかもしれない。しれないけど、なんかこう、まあたまにはそういうことがあるかもしれないとか、そういう程度だと思ったり、思わなかったり。  ともかく一面の銀世界。ラブホの入り口を抜けると、そこは雪国だった。  なんて言いたくなる程度に積もった雪は、たぶんなんかすごい記録になるだろう。  どうやって帰ろう、むしろもう一泊してイチャイチャすべきか。  幸せだけど悩ましい事態に直面して、俺はただただ厚く積もった雪を眺めるのだった。  ……ごめんね、雪男。ちょっとなめてました。

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