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第1話
なんとなくそういう日があるだろう?
訳なんてないけど、楽しかったり、落ち込んだり、イライラしたり、赤が目についたり。
なんかそういう日。
目を覚ます前から、白くて楽しい夢のおかげで、わくわくしていた。
夢の中身はよく覚えていない。
ただ、大好きなあんたが、白い服を着てすごくすごく幸せそうに笑っていた。
その笑顔がとても嬉しくて、おれも笑った。
おれの大好きな大事な人。
ずいぶんと歳が上で、優しい人。
くたびれたおっさんを追いかけてないで、もっと若くて年が近いいい男をつかまえろって、泣きそうな顔で笑う人。
そんなあんたが、手放しで何の憂いもなく笑っているから、とっても嬉しかったんだ。
つまんない若造で、金も地位も名誉も何にもなくて。
あんたが褒めてくれる見た目や若さだって、あと何年かでなくなってしまう。
あんたを好きだって気持ちしか、おれにはない。
生まれた田舎町を離れて都会に出てきた、どこにでもいるようなガキだけど、あんたが好き。
ほだされてくれて、すごく嬉しい。
ホントはずっと笑っていて欲しい。
幸せな顔におれがしたい。
いつも願っているそんな思いが、かなった夢。
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