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第55話 あいちゃい

託児所の保母さんに流生は 「かぁちゃ きゃえらにゃいの……」 と言うと保母はギョッとした顔をした 帰らない…… 「りゅーちゃ……ちらい……にゃのきゃな……」 クスンと鳴きながら流生が言う 子供の癖にやけに整った顔して…… 頑固な眉毛は顔立ちの良さを引き立てていた 「りゅーくんが大好きとお母さんは何時も言ってるでしょ?」 保母は元気のない流生を励ました 翔が寡黙ながら……元気がない 保母は「どうしたの?翔君」と問いかけた 「かぁちゃ……きゃえらにゃいの……」 お前もか…… 保母は……ニコッと笑って 「お仕事忙しいのかな?」と取り繕った 「ちぎゃうの……」 え?え?えええええええ? 何が違うの??? 「かぁちゃ……かけゆ……きりゃいにゃの……」 おい!???????????????? いい加減にしてよ…… 「そんな事ないわよ」 翔へニコッと笑って誤魔化した はぁ……音弥は溜息ばっかり 「音弥君 どうしたの?」 「かぁちゃきゃえらにゃいの……」 おい!どいつも口を開けばそれかよ! 「……かぁちゃ おとたんきゅらいにゃのきゃにゃぁ…」 「音弥君!母さんも父さんも君達の為に働いてるだよ! 誰よりも君達に逢えなくて悲しいのはご両親よ!」 よし!これだけ言えば……大丈夫よね? 「ちぇんちぇー」太陽が声を掛けた 「なぁに?太陽君?」 「ちぇんちぇー ちなね!」 うんうん!何?? 「かぁちゃ いにゃいにょは‥‥きゃなちぃの!」 ………感動…… こんな優しい子がこの世に存在していたのね! 「ちぇんちぇー きゃにゃね! とぅちゃ いにゃいにょはかにゃちぃ……」 大空君… 君は父さんそっくりの顔をして寡黙だけど優しいのね 太陽君と大空君は父さん譲りの顔で将来イケメン 翔君は何処か母さんに似てイケメン 音弥君は整い過ぎの顔が天使でしょ…… この5兄弟は両親を愛して止まない こんなに子供に愛される親が羨ましい 同じ年の子供が、五つ子じゃないのに……5人 訳があるのは……何となく解る かぁちゃ も とぅちゃ も 男だから…… でも詮索はしない どの子も預かる大切な子に変わりないのだから…… 「早くかぁちゃ帰ると良いね」 保母さんが言うと流生が 「あにょにね、とぅちゃもかえらにゃいの」と付け加えた 「………お絵描きしようね! とぅちゃとかぁちゃが早く帰ります様に、祈ってお絵描きしようね!」 保母はクレヨンと画用紙を5人に渡した 5人は一心不乱にお絵描きを始めた そして………絵を抱き締めて… 泣きながら寝た 保母は…… 子供達にブランケットを掛けた 早く帰ります様に 保母は5人の絵に祈りの言葉を書いた

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