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第93話 クリスマスの後に‥‥

12月25日 昼頃 兵藤は家に帰ってきた 玄関まで慎一に写真を持って来るのを手伝って貰った 「部屋まで手伝いましょうか?」 慎一が言うと兵藤は顔を赤らめた 「……部屋はダメ……」 「…え?……何ですか貴史?」 「此処で良い!ありがとう慎一」 兵藤はそう言いパネルの写真を一人で持って家の中に入った 慎一は家に入るのを見届けて飛鳥井の家に帰った 家に入ると美緒が帰宅した息子に問い掛けた 「帰ったのかえ?貴史」 「おう!今帰った!」 「何処へ行っておったのじゃ?」 「前だよ!」 「飛鳥井に行っておったのかえ? なんで我を誘わぬのだ……」 「康太の子供に誘われたんだ」 「……で、その手の荷物は何なのじゃ?」 「………Xmasプレゼント……」 「誰からのじゃ?」 「太陽と大空がくれたXmasプレゼントだ」 「……デカくないかい?」 「………デカいんだよ! うるせぇな!」 兵藤は文句を言い美緒から離れた そして部屋にパネルを運び込んだ 兵藤の部屋のサイドボードにも机の上にもいたる所に康太の写真が立ててあった まさか……慎一にこんな部屋を見せる訳にはいかなくて…… 玄関で追い返す様な態度を取ってしまった 悪い事をしたな……と、思いつつ…… 兵藤はパネルの梱包を解いた 露わになったパネルの写真に……… 兵藤は釘付けになった…… 「…………康太……」 パネルの中の康太は笑っていた 親しい奴にしか向けない笑顔で笑っていた 兵藤は最高の贈り物を手にして…… パネルの康太に口吻けた…… 飛鳥井の家に帰った慎一は 一生に「……玄関で追い返されました」とボヤいた 一度は兵藤の部屋に入った事のある一生は…… 何と言って良いか窮した…… 「……慎一、耳を貸せ……」 慎一は何も言わず一生に耳を貸した 『貴史の部屋には康太の写真が沢山あるんだよ…… 隠し撮りから……寝顔から…… 俺も一度入ってビックリしたからな……』 とヒソヒソ声で慎一に伝えた 「………そんな事が……」 慎一は呆れた でも兵藤が喜べば良いと思った 子ども達は最高に兵藤が喜ぶのを見抜いていた事になるのか…… 慎一は「………子供って怖いな……」と呟いた 一生は、うんうんと頷いた 貴史に幸あれ…… 慎一はひっそりと祈った

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