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第18話

浅倉 七瀬side ……目が覚める。…動けない…。誰かに抱きしめられてる。そっか昨日…。まだ一緒にいてくれた…。 寝言で何か言ったか…? 俺には母がいない。特に珍しくもないと言われればそれまでだが、幼い頃の記憶を思い出して時々寂しくなるのだ。俺の母は、不倫した挙句離婚し家を出て行った。俺と兄と父の三人で暮らして来た。 「…ん、……起きた?。なら、帰っていいよね。服借りていきますね。僕のドロドロなので、それではまた…」 「あ、うん。またな」 兄や父のように割り切れなくて、特に俺が生まれた後から酷くて、愛情注いでもらった記憶が無いからか、酷く愛に飢えていた。 幼馴染で埋めて来たけど、最近彼には恋人が出来たから…。いい加減依存するのはやめないと…。恋人を作りたくて焦っているのは自分でも分かっているけど、このままでは不眠症になってしまう… 「…ん?」 『……お風呂、ありがとうございました。…明日、服、返します』 「律儀だな…」 瑞原に返信をし、シャワーを浴びる。夜はお礼に晩ご飯を奢ってくれるって言ってたし、朝は食べないから。行く途中でパンでも買うかな。 「……もしもし、兄貴?どうしたん?」 「おー、元気?特に要はないんやけど」 「何でやねん。まぁ、元気やで…。父さんは?元気なん?最近は無茶してない?」 「嗚呼、元気やなぁ…。俺の心配してくれへんの?」 「声からして元気やん。ほんまに何もないん?」 久しぶりに聞いた兄の声。元気に聞こえるけど、何処かいつもと違う気がして不安になった。何が違うのかは分からないけど… 「俺、結婚するから…。お前は好きな人と一緒になれよ…。知ってたんだ。お前、同性しか好きになれなやろ?…父さんは子供楽しみにしてたからな…」 「………兄貴やって、同じやんか…。俺のために人生無駄にするん?子供は、養子でもいいやん…。兄貴も好きな人と幸せになってや…」 「そうは言っても、もう決まってん…」 「嫌や、そんなん…。俺、嫌や…。父さんに二人でカミングアウトしよ?今ならまだ間に合うやろ…」 「………俺のことはいいから。幸せになれ」 「嫌や!絶対許さんから!今から断ってよ…」 「……………決心揺らぐなぁ…。ちょっと目が覚めた………。俺、やっぱり、好きな人と一緒にりたいわ…」 兄がそんなに思いつめていたなんて思いもしなかった…。俺、恵まれてたんだな…。そっか、兄貴もそんな歳になるのか…。 俺と兄貴は結構歳が離れてる。9歳も変わると覚えている記憶も違うわけで、兄は母のせいで女性がダメになってしまったようだ。それを見ているからか、関係ないかは分からないけど、俺も女性はダメだった…。

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