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第22話

浅倉 七瀬side 家に人がいるって新鮮だな…。一人暮らしだから自分以外に人がいるのちょっとソワソワする。一夜共にしたし、緊張…。 「ねぇ、聞いていいかわかんないけど…。気になるから聞いていい?」 「ん?なに?」 「七瀬、母親となんかあった?」 「………昨日、寝言でなんか言ってた?」 「うん」 「あー、俺の家、両親離婚しててな…。母親がいないんだよね。不倫?と言うか浮気というか…。親父が仕事に行って、あー、兄がいるんだけど、兄が小学校に行ってる時にな。寂しかったんかな…。俺を置いて出かけて行くんだよ」 「保育園とかいかなかったの?」 「あー、そう言われれば行ってないな…。家にずっと母さんがいるはずだったから預けられる事はなかったんだよ。まぁ、母さんは俺を置いて出かけてていなかった訳だけど…。まぁ、そんな感じで、母親から愛されて来なかったからか、なんか、寂しくて?悪夢を見るんだよ。大切な人が俺を一人残して何処かに行く夢なんだけどな……」 「ふーん、そっか…」 「まぁ、あんまり重く受け止められるのも嫌だったからいいんだけど…。聞いといて軽すぎない?」 「俺も、同じような経験した…と言えばしたから…。しんどいよなぁ…と」 これは聞いていい話なんだろうか…。話して楽になるなら幾らでも聞くけど、今、凄く、しんどそうな感じがする。話す方が負担になるなら無理に聞くのは良くないよな…。 「聞きたい?」 「えーっと……聞いていいやつ?」 「まぁ、楽しい話ではないけど…。僕の両親も、離婚して、今の親、母親の方は、僕と血が繋がって無い。慣れるまでは違和感もあったし、母親なんて思えなかった。一人っ子だったのが、父さんと義母さんの間に子供ができて…。僕は要らない子なんだろうなって勝手に思ってた」 「……それって…」 「あー、別にそんなに重い話じゃ無いんだけど。生まれた弟たちにも、僕にも同じように接してくれて、今はちゃんと家族だと思えるようになったから…。……寝言で母親のことを呼ぶ声がさ、僕が小さい頃夢を見て起きた時の声に似てて……。なんか放って置けなかった」 「なるほど……。それで俺抱きしめられてたのね」 「七瀬が寂しそうな声を出したのがいけないんです。あんな声、二度と出さないで欲しいですね…。僕まで嫌な思い出を思い出すから迷惑です…。どうせ過去は過去。嫌なものは早々に忘れるのが一番です」 なるほど……。不器用だけど、これは励ましてくれてるのかな…。この子の思考回路がどうなってるのか分からなすぎて凄く興味がでた…。 「食事の時、嫌な態度取ってすみません…。でした……」 「え、ああ…。大丈夫……」 「僕、もう寝ます。ベット借りますね」 「嗚呼」 そう言ってベットに潜り込み、寝てしまった…。寝てる顔はすごく穏やかで、スッキリしていた。ずっと謝りたかったんだろうな…。あれくらいなら別に可愛いもんだけど…。 昔の八尋の方がもっと色々ツンツンしてて怖かったからな…。俺も寝よ…。

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