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第21話
瑞原 冬夜side
何でムカつくの分からない。ただ、このムカつきは、あの人しか解消出来ないと本能的に理解している…。
優たちは、困った顔をしながらちゃんと話し合ってと言って食事が終わったら二人で帰ってしまって……。結果またこの人と一緒に取り残されることになった…。
「なんか、ムカつく。どうにかして」
「そんなこと言われても…。何にムカついてるのさ…」
「わかんない。七瀬を見てるとイライラする」
「それってさ、同族嫌悪??」
それだけじゃない気がする。今までだって同族嫌悪で友達になれなかった子は居たけど、こんなにムカムカしなかった…。
何より、今日の食事の時、七瀬が優と話しているのがムカついた。
「俺、多分お前より一個上だけど」
「………今、それ重要、ですか…」
「瑞原の敬語って、敬語なのに尊敬してない感があって、めちゃくちゃ好きだわ。タイプドンピシャだし、性格も好き。俺、一目惚れした」
「はぁ?何言ってるんですか?」
「だからさ、付き合ってみない?そしたら何か分かるかもよ?」
「嫌ですよ」
「なら、お試し期間で期限つきの恋人ごっこしてみない?俺、瑞原を逃したくないんだよね。その期間中に絶対惚れさせるから」
そういう勝負みたいな感じ嫌いだ。絶対惚れてなんかやんない。少しの闘争心に火がついてその申し出を受ける事にした。
きっとこれは間違いで、惚れてズブズブに溺れてしまうフラグだけど…。素直になれない僕にはちょうどいいかもしれない…。多分、僕もこの人に一目惚れしてる。それを認めたくないからこんなにもムカムカするんだ…。
「わかりました。受けて立ちます。絶対に惚れませんから…」
「それ、盛大なフラグって知ってる?」
「うるさいですよ。……優達のせい終電逃しました。止めてください」
「そう言う図々しいとこ意外と好きよ。服どうするの?」
「貸してください。下着だけは買うんで、コンビニ行きます」
「おっけー」
ちゃんと謝ろうと思ったのにまた反発してしまった…。家に着いたらちゃんと謝ろう。
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