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第六章・16

 ローションを手にして郁実の後ろに侵入すると、思いのほか柔らかだった。 「ん?」 「あ、あの。その。お風呂で、自分で、少しだけ……、準備を……」 「郁実~♡ そんなに早く欲しかったのかぁ♡」  無理もない。  海外ロケが入って、2週間会えなかったのだ。 「寂しかったのは、俺だけじゃなかったんだね」 「颯真さん……ッ!」  こんな殺し文句がさらりと出てくるのは、彼が俳優だからだろうか。  颯真の一挙一動、一言一句が、郁実を熱くさせていた。

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