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淫猥②
「帰山くん、僕…監禁されてるんだ」
空は帰山に打ち明けた。普段であれば話をしたくない相手だが、今はそんな事を言っていられない。それに、事情を話せば、何かしらの行動を起こしてくれるかもしれない。
今の空に、何故彼がここにいるのかということを考える余裕はなかった。
「監禁?」
「うん、誘拐されて、気付いたら知らない建物の中にいて、知らない大人達に囲まれて…。この格好だって無理矢理させられてるんだ。今も行動を制限されていて…。助けてほしい…ッ!警察にこの事を話して…」
「ふふ、ははは!なんだ、そういう事だったんですね。僕はてっきり自分からこの仕事をしているのかと思っていましたよ」
「…帰山…くん…?」
帰山の不可解な反応に空は後退りをする。
「安心しましたよ、空先輩。僕の中の空先輩は、純粋で汚れを知らない男の子なんです。この話を聞いたとき、自ら自分の身体を売るような事をしているのかと思って胸が張り裂けそうでしたよ」
「何…言ってるの…?この話って何のこと…?」
空は不安をあらわにして聞く。
「へぇ、何も聞かされずに来たみたいですね。僕が説明してあげますよ。空先輩は今からここで僕達を接待するんです」
帰山の言葉を合図にしたように、乗客としてバスに乗っていた男たちが立ち上がり、空を囲むように近付いて来た。男は全部で3人。帰山を入れると4人だった。
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