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淫猥⑯
「ぅぅ…ひどいよ…ッ、ぐすっ、なんでこんな事するの…?」
空はすすり泣きしながら帰山に言った。
「さっきから言ってるじゃないですか。空先輩の事好きだからですよ」
「…好きなら…こんな事しない…」
空は下を向いたまま小さく言った。
「空先輩…?」
「僕のこと好きだったら、なんで僕の嫌がることをするの…?帰山君は僕を性欲の対象として見てるだけだ…!それは好きとは違うよ…ッ!」
空は涙で赤らんだ目で帰山をキッと睨んで言った。
空の言葉がバス内で木霊し、暫く静寂が漂った。
「空先輩、やはりあなたは素晴らしい方です。可愛い容姿をして、強気な性格。欲しい。僕はあなたが欲しいです。」
帰山は低い声でそう言った。
帰山の病気とも思われる程の執拗な執着に、空はもはや言葉を失った。
この人に何を言っても全く意味がない。空の心を絶望が包み込んだ。
「お前さん、泣き顔も可愛いな。もう俺は我慢しきれないぜ」
突然背後の大男が空を抱き上げた。
「や、なに…、やだ!下ろして!」
大男は、ジタバタと暴れる空を一番うしろの長いシートに座らせた。
そしてスカートを勢い良く剥ぎとった。
「いやぁ!」
女性用の下着一枚の姿にされ、空は慌てて両手でそこを隠した。
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