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リオ・4
敢えて俺は聞いてやった。
「セックスしてる時って意味ですか」
「直球すぎるぞ、馬鹿。それでも卑猥な意味じゃなくてな、俺が言いたいのは、その……スポーツ選手が試合をするのと同じで、生きてるって実感できるんだよな」
「そんなこと言ってると、スポーツ業界からの依頼が来なくなりますよ」
「だ、だから変な意味じゃないんだって! だいたいお前……お前だって無意識かもしれねえけど、いつも良さそうにしてるじゃねえか」
「………」
今更恥ずかしがるでもないけど、どうもこのテの話題は苦手だ。
「何で黙るんだよ?」
「別に。……厳密に言えば理人と俺はセックスしてる訳じゃないから、てっきり俺じゃない誰かとのことを言ってるんだと思ったんですけど、違うんですか?」
「あー、確かに。でもここ最近はヤッてねえよ。最後にヤッたのいつだったっけな……?」
「聞きたくありません」
「なんだ、嫉妬しちゃうか?」
「興味が無いだけです」
俺が呟いたその時、部屋の呼び鈴が鳴らされた。
「お、来たか」
変な会話のせいでだいぶ雑念が入ってしまった。ベッドを下りた理人がドアの方へ歩いて行くまでの間に、無理矢理頭の中を切り返る。
部屋に入って来たのは写真で見るよりも少し幼い印象の青年だった。高校生と言っても通るかもしれない。身長は俺よりもずっと低く、理人と並ぶとまるで親子のようだ。
「初めまして、東京BMCから来ましたリオです。よろしくお願いします」
爽やかな笑顔で理人に挨拶をしたリオが、ベッドの上の俺を見て一瞬驚いたような顔をする。
「リオです、初めまして……」
「初めまして。煌夜です」
「よし、時間も限られてるし早いところ始めるか。リオ、脱がなくていいから適当に座って寛いでくれ」
「え……?」
明らかに困惑している様子のリオが理人と俺の顔を交互に見る。恐らくは性処理以外の目的で指名された経験などないのだろう。ぎこちなくソファに腰かけたリオの表情には不安の色すら浮かんでいた。
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