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青天の霹靂 

 相原流絵side  それは青天の霹靂やった。 「やっぱ麻里ちゃんと錬くんのケンカップルの感じがええんよねぇ」 ラフ画なのに、むふむふと笑いながら原稿を嬉しそうに眺める高木を見て一息ついた時やった。  「カイ、ちょっといいか」 滅多に自分から話しかけて来ない先輩が優しい顔で俺を呼んだから、ちょっと期待したのに。 「この女性を裁いてきてくれ」 始末の依頼をされただけだった。 「何の罪?」 「犯罪歴はない」 条件を満たしてない上、もっと気にくわないことが重なる。 「クヴァールから頼まれた」 クヴァール……山田の飼い主とまともに話したことないんやけど。 「山田がやればええやん」 快楽殺人犯なんやから、と吐き捨てると、カイ!と白い肌を真っ赤にして怒られたけどしらん。  そっぽを向いていると、ため息をついた先輩。 「急変で亡くなった恋人が死んだのは自分のせいだと責め、自殺しようとしているのは罪だと思わんか?」 俺の胸にその言葉が突き刺さったように苦しくなる。 俺が先輩とかーくんと組むことになるきっかけは幼なじみの美月が通り魔に殺されて復讐したいという思いが収まらなかったからだ。 「気持ちがわかるお前が解放してやれ……ビルド」 ああ、相変わらず優しいわ……先輩。 だから、人を殺されへんねや。 「罪だけ裁いてくるわ」 首の後ろを掻きながら顔を見ずに言い放ち、先輩の部屋を出た。

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