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お題『絶対に許さない』
小国とはいえ、
仮にも一国の王子である僕を攫い出したことも驚きだけど、
その僕を小汚い馬車に押し込んで、
長い船旅に連れ回して、
挙げ句の果てに、砂まみれの国へ住まわせるなんて。
てっきり賊かと思っていたら、
お前もまた、この砂漠の国の王子だって言うんだから、
何もかも信じられない。
窮屈な城の暮らししか知らない僕には、
この国もお前も、自由すぎて怖くなる。
空も大地も果てがなくて、
世界はこんなにも広いんだと知った。
もう籠の中には戻れないから、
僕を大空の下へ連れ出した責任を取ってくれなきゃ、
絶対に許さない。
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