7 / 35

お題『絶対に許さない』

 小国とはいえ、  仮にも一国の王子である僕を攫い出したことも驚きだけど、  その僕を小汚い馬車に押し込んで、  長い船旅に連れ回して、  挙げ句の果てに、砂まみれの国へ住まわせるなんて。  てっきり賊かと思っていたら、  お前もまた、この砂漠の国の王子だって言うんだから、  何もかも信じられない。  窮屈な城の暮らししか知らない僕には、  この国もお前も、自由すぎて怖くなる。  空も大地も果てがなくて、  世界はこんなにも広いんだと知った。  もう籠の中には戻れないから、  僕を大空の下へ連れ出した責任を取ってくれなきゃ、  絶対に許さない。

ともだちにシェアしよう!