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05 キスは長ければ長いほどいいのだ♡
「…んんっ♡ んっ、むちゅ♡ …はふ…♡♡」
「ん~♡♡ …んむ、は…♡♡」
ちゅっちゅ、ちゅううぅぅ…♡♡♡
時刻は午後三時少し手前……本来なら、まだ午後の授業があるはずのこの時刻。
……何故か田所政峰と宮前奏多の二人は、隙間のないくらいにぎゅううっと抱き着きあった状態で、いっそうるさいほどの卑猥な音をたてた濃厚なキスを交わしていた。
「…だったらさぁアンタっ、 ――オレとセックスしてみませんかっ!!」
「………っ、するっ!! オレっあんたとセックスするよっ!!」
そう言いあいながらお互いの手をきつく、強く握りあったあの屋上での出来事からすぐ後。
善は急げっ!! とばかりに、それからの性欲マックスムラムラな二人の行動はとても早く。
五限の授業の終わりのチャイムが鳴り響いたと同時にそれぞれの教室へ向かい、どこ行ってたんだと声かける級友に
「急にお腹痛くなったから早退するっ!」とだけ言い残し。
すぐさま待ち合わせした裏門から学校を抜け、両親がどちらも仕事でいないという政峰の家へと足早に駆け抜け、
そして。
ガチャリっ、バタンっ!! ダダダダダダっ、バタァァァンっ…!!!
玄関のドアから自身の部屋まで、家が崩壊してしまうんじゃないかというほどの騒音をたてながら走り抜け。
バタンっ、ドアを閉めると共にはぁはぁ、走り続け出た息切れとは別の息の荒さを互いにしながら――勢いよく、キスをし始めたのである。
「…んん~♡♡ ん、ぷはぁっ…♡♡」
「んはっ♡ …ふぅ」
「ふふ…アンタ、ちゅう超上手いね♡ すっごく気持ちよくて、腰にズクンってきちゃったよ…♡」
「でっしょオレの自慢っ♡ これで数々の女の子をモノにしてきたからね。アンタの唇もぷにぷに柔らかくって食べがいがあるじゃん♡ めっちゃおいしかったよ♡」
「でっしょオレの自慢っ♡ この唇で色んな男、虜にしてきましたからっ」
「っ!……何そのマネ…かわいいんですけど」
「え~? んふふ~♡」
「っ~…」
部屋に入って約一分近くもの長いキスを交わしていた政峰と奏多の二人は、
やっとのことでキスをやめた後も、ぐぐっと密着したままお互いの顔を近づけていた状態だったのだが。
ふいにキスを褒められてた政峰が、ふふんっとキス自慢を指を揺らしながらしてみせると、
唇の柔らかさを褒められた目の前の奏多もまた、政峰のマネをするように指を揺らしながら得意げな顔をしてみせた。
そんな自分のマネをしながら喋る奏多に…何故かものすごくキュンっとさせられてしまった政峰は、
「あっで、でもさっ!」と話題を変えるように口を尖らせ。
「オレはさ~こんな感じにすっごくキス好きなんだけど、前の彼女とかはあんまり長いキスすんの好きじゃなかったんだよねぇ…」
そう不満を漏らした。すると奏多の方も「! それわかるっ!!」と力強く同意し。
「オレの前の彼氏もさっ。オレはずっとちゅうしててもいいくらいなのに、毎回キス長すぎっとか言って中断させたりしてたんだよ! 酷くないっ!?」
「うげぇ~何ソレ酷すぎっ」
「だよねだよねっ! もうっ思い出したらめっちゃムカムカしてきたぁ…!!」
付き合ってた当時のその光景を思い出し、イライラし始める奏多。
一気に表情が変わりだした彼を間近で見つめていた政峰は、しかし「ん~…」と少し考えると
「なぁなぁ、こっち向いてっ」
「ほんっともうっ、って、え…んむっ!?」
ちゅっ、ちゅっちゅううぅぅ♡
「んんっ……ん、はぁ…な、なにいきなりっ…」
「ぷはっ…あははっごめんごめん、オレのキステクでイライラ吹っ飛ばせるかなぁと思って、つい」
「!!」
「どう? イライラ少しはおさまった?」
「っ……おさまった、です…」
「へへっならよかった!」
「っ~…」
顔をあげた瞬間、突然同意もなくされた政峰からの強めにキスに驚く奏多。
けれども、政峰なりの自分を想ってのキスだと知り……こちらもまた先ほどの政峰と同じく、何故かものすごくキュンっときてしまう奏多であった。
何だか妙に気恥ずかしい気持ちに襲われた奏多は、それをかき消すように「んっもっかいちゅうしてっ」と目を閉じながら顔を寄せ、
政峰の方も「おっけ、長めのやつな♡」と噛みつくように奏多の唇をふさいだ。
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