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04 『奏多』、それは欲望に忠実な男の名前。

宮前奏多(みやまえかなた)――彼もまた、田所政峰(ただころまさみね)と同じく、人よりも非常に性欲の強い、言うところの『性欲大魔神』その人であった。 幼少期。奏多はもう既にその頃から、幼稚園生男児の初恋対象になりやすい優しい保育士の女性の先生ではなく、同じ組の友達の偶に母親の代わりに帰りの迎えに来てくてる高校生のお兄さんに、めちゃくちゃときめいていた。 さらに小学校中学年で、クラスの男子がどの女子が可愛いかを口々に言いあってる傍ら。 奏多は可愛いと言われている女子よりも、目の前で恥ずかしそうにコソコソその話をしている男子の方が可愛いと思い。 中学にあがると同時に、クラスメイトになった隣の席の優しげな男子にエッチなことをされている夢を見たことにより初めての夢精と同時に精通を迎え。 さらに前々から感じていた、自分の恋愛対象が同じ『男性』であることをこの時はっきりと自覚する。 自覚してからは、自身がその同じ男性に犯されたい……つまり所謂『ネコ』側であるのだと気づき。 そこからは、もっぱら好みの男子に犯される妄想をしながら日々オナニーに勤しんでいた。 こちらもこちらとて、親に感謝。見目麗しく、どことなく色気の漂う雰囲気でその気のある同じニオイのする男性を嗅ぎ分けすかさずアタック。時にはわざと誘うような仕草で向こうから迫らせるようにしたりして、この年まで幾多の恋人をゲットしてきた。 ――と、こちらもここまではまだよかった…のだと思う。 見た目の華奢な雰囲気をひっくり返すようなその有り余る性欲の強さのせいで、彼は一日に一回二回ぐらいのセックスではとてもとても満足できず。相手の精液を残らず搾り取る、まさにサキュバスかのように恋人の上で一日中あんあん言いまくることが日常茶飯事だった。 そんな奏多に、体力なら誰にも負けないぞっ☆ と豪語していた中学時代にできた年上の筋肉モリモリ彼氏でさえも 「……も、もう無理ぃ……ぜぇはぁっ…わ、悪いけど、奏多…お前のセックスに、ぜは…俺もうっ、付き合えないぃ……」 と、屍寸前の状態で音を上げ。 月日の流れた今日この日。 結局また高校に入って新しくできた彼氏にも、その恐ろしいまでの性欲の強さゆえに 「…もう僕、奏多と付き合える自信がない…」と別れをきりだされ。 最後はほぼ奏多からの逆ギレの形で、恋人の幕を閉じることとなったのであった。 ――そして、現在軸。

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