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終章
その夜遅く――祝いの席が終わり、皆帰って――ノアは満たされた気持ちで食堂の二階の部屋に天城と床を並べ、横たわった。
天井を見ながら天城に語りかける。
「今日……楽しかったね」
「ああ」
天城も満足げに呟いた。
「音羽さんや相模さんたちも……とっても楽しそうだった」
「ああ。あとは……キオの退院を待つばかりだな……」
「そうだね」
ノアは酔っ払った皆の様子を思い出してくすりと笑った。
「キオが帰ってきたら……またあんな風な大騒ぎになるのかな」
「なるだろうなあ……」
天城も苦笑する。
「天城さん……僕、みんなのことが大好きだ」
「俺もだよ」
ノアは布団から手を差し出した。天城が気付いてその手を握る。
「僕、星間連絡船に売られて――ほんとに良かった」
「そうだな、俺も――命令違反してあの船に乗る羽目になって――ほんとに良かった」
天城はゆっくりと身を起こした。
「こんなに幸せな日がくるなんて、前は思いもしなかった。そうしてノア――」
そのままノアに被さってくる。
「こんなに大事な相手ができるなんてことも、思いもしなかった」
ノアは目を閉じた。そのノアに天城が口付ける――ゆっくりと舌を絡めてから、天城は唇を離し、ノアの耳に囁いた。
「俺、目が覚めるのが楽しみだよ。明日もノア、お前に会えるから」
おしまい
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