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エピローグ・12

 そうだった。  今日は、バレンタインデー。  実は逸朗も、プレゼントを準備していた。  チョコレートと、ポップなデザインの靴下。  おしゃれなブティックに一人で入るのは緊張したが、サプライズにしたかったのだ。  放課後、廊下で旭は逸朗と向かい合った。  旭の手には、紙袋が下げてある。  この中に、手編みのセーターが入っている。  旭は、明るい笑顔を作った。 「はい。これ、バレンタインプレゼント。一生懸命編んだんだよ」  待たせてごめんね。

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