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第6話
「うーん、掃除じゃ、ないよね。それはお手伝いさんがやるから...えー、わからないなぁ」
そういうひよりの声はどこか楽し気だった。
密かに想いを寄せる相手の声に心は震えるが、いかんせんタイミングが悪い。
ただでさえ、兄弟でヤっていることに対して背徳感を感じているのに...
こいつが俺を犯すのを止めるのはもう無理だろう。
だから、せめて...せめてひよりをこの場から離してほしい。今の俺をひよりに知られることだけは絶対に避けたい。
ひよりに軽蔑され嫌われでもしたら...
想像しただけで胸が痛くなった。
「...ん...ぅ、っ」
俺は腕を伸ばし兄貴の顔を両手で包むと引き寄せ深く口づける。
一瞬、驚いた顔をする兄貴だがすぐに満足そうに笑み、舌を絡ませてきた。
俺もそれに応えるようにして必死に兄に媚びる。途中何度も吐き気をもよおしたがそれも堪え、キスに応え続ける。
その時間は数秒と短いものだった。しかし、俺にとっては数十分もの長い長い苦痛の時間に感じた。
「はっ、可愛い...本当お前は可愛いな」
もう、こんな生ぬるいのじゃ足りない。ひよりに聞こえないような声音で俺の耳にそう、囁く兄貴。
「ひよ、り...はっ、も...いい、だろ...っ」
なるべく声を殺して掠れた声で言えば兄貴はさらに笑みを深めた。
俺の中にある兄貴のものが熱く脈打ち、先ほどよりも大きくなるのがわかった。
「...そういえばひより、今日はこれから伯母さんと一緒に美術館に行くんだろ?さっき伯母さんから電話があって、4時頃になったら門の前まで出て待っててくれって言ってたよ」
「え、4時頃...わっ、もう5分もない」
「ごめんね、言い忘れてて...」
「ううん、大丈夫!気にしないで歩兄さん。あ、申し訳ないんだけど鞄、私の部屋にてきとうに置いといてもらってもいい?」
「うん、全然かまわないよ」
「ありがとう。それじゃあいってきます」そういうなりバタバタとする足音が聞こえ、ガチャリとドアのしまる音が響く。
と、同時にキスの時に止まっていた律動が再び開始され、俺は舌を噛みそうになった。
「これでいっぱい渉を愛せて、いっぱい渉の可愛い声が聞けるね。もう我慢なんてしなくていいんだよ。さっきはちょうどよくひよりが来たからやっぱりお仕置きを再開させたけど...うん、渉がすごく積極的だから」
理性がもたないよ。お仕置きなんてやめだ。
そういって兄貴は俺の太股を掴むと荒々しく中を突き上げてきた。
「ひっ...う、あ...ぁっ、あ、」
悔しくて悔しくて流れた涙は興奮し頬を赤く染める奴の舌によってきれいに舐めとられた。
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