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第39話

 「なんなんだよ...っ!なんで...いつも、こんな、」  夢から覚めた俺は、起き上がり、部屋の壁を殴りつける。  夢の内容を思い出しては酷い吐き気が俺を襲った。土屋がいない、1人の時に眠ればこのような夢ばかりを最近は見ている。  苛立ち気にあたりを見渡せば、メールの受信を知らせる携帯のランプが目に入り、手繰り寄せる。  中を確認すればそれは土屋からのもので、18時頃にこちらに来るということを伝える内容だった。  その内容に俺は安堵するが、同時に僅かな動揺も生まれた。  もしかしたら、土屋はあのことについて話を聞きにくるのかもしれない...  ジンジンと痛む両手に、口の端の傷。  これらは友人たちとの殴り合いによって、負ったものだった。  友人たちの本音に、俺の目の前は赤く染まり、俺は我を失うほど奴らを殴り倒していた。  力はケンカ慣れした俺の方が圧倒的に強く、止めに来た教師方に抑えられた頃にはもう、3人は床に倒れ、痛みに呻いている状態だった。  それから俺は停学をくらい、すぐに家に帰された。  当然のごとく、親も呼び出されたのか、夕方頃には怒りを募らせた両親から電話がかかってきた。  きっと帰ってきたらまた俺の顔を見るなり、怒りをぶつけられるのだろう。そのことがひどく億劫に感じた。  何も知らないくせに、心ない言葉を投げかけるやつらなどもう視界に入らない。  そのせいか両親からの電話の時も、俺は何を言われても特に何も思わなかった。  多分、無意識のうちに全ての言葉を頭の中にはいれず、聞き流していたのだろう。  ―でも、土屋は違う。  あいつらなんかと土屋は違う。 だからか、土屋がここに来ることについて動揺が生まれたのだ。  土屋に何を言われるのだろう。呆れられていたらどうしよう。見捨てられたら...。  今、土屋が俺から離れていってしまったら...俺は...俺は...。  両手で顔を覆い、蹲る。  ―嫌だ...そんなの、今の俺には土屋しかいないのに...。  土屋を求める心は恋愛感情などではない。  それは依存。恐怖から逃げるために俺は土屋に依存し、縋りつく。  それしか俺が正気を保つ方法が無かったから。  そして静かな家の中で、インターホンの音が鳴り響いた。

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