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ifネタ2-6

 「穂波先輩、運ぶのを手伝ってほしいって...“これ”のことだったんすね」  「あぁ、そうだよ。さすがにこれ以上放置しちゃうとお隣さんとかにバレちゃうからね。そろそろ片づけておきたかったんだけど、俺も傷が治りきってないから1人だと大変でさ」  平日の昼間。手伝ってほしいことがあるんだ、と穂波は松高を連れ学校を抜けると、とある場所を訪れた。――― そこは先日事件現場となった日向のマンション。  穂波はおもむろにこの部屋の合鍵をだし、難なく中へと入っていった。  静まった部屋の中に2人分の足音が重なる。向かう先はベランダで、何をするのか分からないまま、松高はその後を追った。  そうして非常用の梯子を降りればそこには身の毛がよだつ様な悪臭の放つ“モノ”が2つあった。  それはもとは人間だったもの。息をすることをやめてただの物体と化したもの。  「さぁ、早く片付けよう?大きいダンボール用意したから」  そういうなり穂波は躊躇なく、2つあるうちの1つの“モノ”を抱き上げた。  ―――  ―――――――  ――――――――――――  「くさかったな」  そう呟き、クスクスと笑う穂波の頬は白い湯気に包まれ蒸気していた。  仕事で親が留守の穂波の家にて。松高は“事”を終え、体に染みついた臭いを落とすべく穂波とともに湯船に浸かっていた。目の前には大好きな先輩の裸体。松高の頭の中は穂波を押し倒すことでいっぱいだったが、何とか押しとどめ、堪えていた。...のだが、  「その点、お前はいい匂いだ。すごく食べちゃいたいよ」  「ぅあっ、せんぱ...ッ、」  男2人と狭い湯船の中、突然穂波は体を前に倒し、松高の上に乗ってきた。そしてドギマギとしている松高の首元に鼻を近づけて匂いを嗅ぎ、そのまま甘噛みしてきた。  太腿の上に乗る、穂波の尻の柔らかさが。胸に手をつく骨ばったきれいな手の感触が。首を舐められる、性的な行為が。全てが松高を激しく刺激してくる。  「 かたい 」  そういう穂波の手に握られているのは松高の昂ったものだった。  「せんぱい...穂波せんぱ...っ、」  「なぁ、松高...これ、俺の中に入れたい?」  松高のモノを上下に扱きながら穂波は妖艶な笑みを背景に刺激の強い発言をし始める。  予想外の質問に松高は口をパクパクと戦慄かせた。  「はははっ、かわいーの。やっぱり俺がもらって正解だな」  「せん、ぱい...?」  突然呟くように言われたその言葉は松高にとっては意味の分からないものだった。しかし、その意味を考える間もなく、次に囁かれた言葉にすべての意識は奪われた。  「松高、お前は俺の共犯者だ」  近づく距離。唇に感じたのは、温かくて柔らかいもの。  「俺はお前を離さないよ?」  微笑みを浮かべる穂波。 それは松高にとって2度目の穂波とのキス。だが、不思議と前とは違うように感じた。何が、とはいえないが。  「俺こそ穂波先輩のこと離さないっすからね。もしも俺のことを捨てたりなんかしたら...泣いちゃいますよ」  「泣くって...何それ、最高」  「もう...ひどいなぁ。俺、悲しくて悲しくて泣いて....――――――― 逃げないよう手足切って閉じ込めちゃいますからね!」   そこにあったのは、歪んだ笑み1つない爽やかな青年の笑顔だった。  end.

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