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ifネタ2-5※

 ベランダで命尽きた二葉の遺体の横に、タオルケットで包まった日向の遺体を並べる。  次に穂波はある場所を探した。それは...―――  ― 見つけた、  ベランダの隅にある、白い四角い鉄のような箇所。それは下の階へと続く避難梯子だった。  カタカタと下げ、下の階へと通じる道を作る。前に日向が下の階には人がいないから騒げるんだ、と言っていたのを穂波は覚えていた。  少しでも気を抜けば意識を失いそうになる。再び立ち上がれば出血のために眩暈が襲った。  だがそんな眩暈さえも押し殺して、まずは日向を引きずり、押し込むようにして下の階に落とす。まるで“物”のように何の抵抗もなく落ちていくその姿を見ていたくなくて、すぐに穂波は目線を逸らした。  続けて小柄な二葉を引きずる。  『お前からも...ようやく解放されたんだな、』  二葉の首についた、痛々しい痕。あれ程憎んでいたにも関わらず、穂波は胸を締め付けられるかのような苦しみを感じた。それは、後悔に似た感情。憎んでいても、穂波の中にはあったのだ。忘れ去られてしまうほど奥深くに潜んでいた、二葉への愛情が。弟のように可愛がっていた。大切にしていたのだ。その過去が穂波の胸を締め付ける。  降り積もる罪の重さ。粉々に砕けてしまっていた穂波の心は今、消えようとしていた。その罪の重さに堪えられなかった。  ずるり、と滑るようにして落ちてく二葉の体。  『俺のせいだ...俺の。俺が、堪えていれば...狂ってしまわなければ...2人は死なずに済んだのに、』  2人の姿を目に焼き付け、機械的に梯子をしまう。  そして立ち上がり、ふらりふらりと歩き始めた。  警察に捕まりたくない一心で2人の遺体を隠した。すぐに見つかってしまうとわかっていながら。  それは松高と2人、自由に生きる可能性を僅かでも残すがためだった。  しかし、改めて2人の亡骸を見てしまった今、穂波は罪悪感で打ちのめされ、生きる希望を失ってしまった。  2人をあんな姿にしておいて、自分だけのうのうと生きていけるほど強い精神を持ち合わせていない。  『俺のせいで...』  口から出るのはそんな言葉ばかり。  引きずるようにして歩んでいた足も、居間についたころにはついに止まり、穂波は崩れるようにして床に倒れた。  血を流しすぎたのだ。それでも、よくここまでもったものだと自身に感服する。  『松高...俺、お前と一緒にいれないわ、』  耳の端で聞こえるサイレンの音。  意識は遠のいていく。そうして混沌とした、闇の中へと消えていった。  ―――  ―――――――  ―――――――――――  『 じゃあ“俺”がもらうよ 』  意識を失ったはずの穂波の口から紡がれたのは、そんな言葉だった。

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