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第23話
「嫌だっ、お前らおかしいよ...」
「いいよ別に。春臣が言うことを聞かないならそれなりの結果が訪れるだけだから」
「...ま、待ってくれ!」
千晶は焦る春臣の目の前で何処かに連絡を取ろうと携帯を出した。それを見た春臣は咄嗟に頭を振って誠太の手から逃れると千晶の携帯を手から叩き落とした。
「京太を呼んでくれよ。写真のことについては京太も含めて4人で...」
「いいよ。俺はそれでも」
「それじゃあ、すぐに呼んで来てもらって---」
「その時にあんたが昔、俺にナニをしたか言ってもいいならね」
「そんな...っ、」
要求をすぐに呑んだかと思えば、とんでもない条件を出され春臣は思わず言葉を詰まらせてしまう。
-そんなことをしたら京太に見捨てられる。
唯一心を開いている京太という存在もまた、春臣の中では大きなものとなっていた。
俳優という仕事も、京太というかけがえのない存在もどちらも手放すことなど今の春臣にはできなかった。
そんな春臣に残された選択肢は1つのみ。
ごくりと唾を飲み込み、意を決した春臣は自身の上着に手をかけ脱いでいく。
「時間の無駄なんだから最初からそうしてくれれば早かったのに」
千晶はそういいながらベッドに座り欠伸をしながら春臣を見る。普段の好青年の姿は何処へやら、誠太はどこかおかしそうに笑いながら壁にもたれこちらを見ていた。
「なんで俺がこんなことを...」
ぶつぶつと文句を言う口は止まらない。
そうだ、どうせ男同士なのだ。何を恥じようか。そう言い聞かせるようにして一枚、また一枚と服を脱いでいく。
だがしかし、残りは下着だけとなった時ピタリと春臣の動きは止まってしまった。
「どうしたの。今更何恥ずかしがってるのさ」
「そんなわけじゃ、ないけど...」
「それなら俺が手伝ってあげるよ、春臣君」
「さ、触るな!やめろっ、て!」
誠太は嬉々として春臣に近づくと後ろから抱きつき片手で春臣の下着をずり下ろした。
ずるり、と露出させられた性器にひやりと冷たい空気が触れる。
その瞬間、千晶は口笛を吹いて冷やかし、春臣の頬は赤く染まった。
「はははっ!春臣君、昔と変わらないね」
「...っ、」
誠太は春臣の肩口から性器を見下ろし笑う。春臣はというと、あることに気がつき全身を硬直させていた。
-こいつ、完全に勃ってやがる...っ!
春臣の尻に誠太の硬くなったモノが当たっていた。恐怖で春臣の性器は縮こまるが、それに気がついているのか否か誠太はごりごりとそれを尻に擦り付けてくる。
「うぅっ、気持ち悪りぃ...」
口をひくつかせてボソリと本音が溢れる。
それは昔遊んでた頃とは比べものにならないほど大きく、硬くなっていた。男との性行為は誠太とのみで、挿れられたことなどなかったし、そもそもそんなことされたくなかった。
「ねぇ、春臣君。前みたいに俺のしゃぶってみせてよ」
その言葉に、やはりか、と春臣は生唾を飲み込んだ。ちらりと千晶を見るが脅すかのように携帯片手に手を振るだけだった。
またしても、春臣は1つしかない最悪な選択肢を出された。
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