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第45話※

 最早出会った頃から憎しみは生まれ始めていたと言っても過言ではない。  自分に向けるのは興味ではなく嫌悪だけ。しまいには誠太を愛で自分のことは玩具のように弄んで捨てた春臣に激しい憎しみを感じた。  その後は高校、大学と一緒に住んではいたが殆ど話すこともなく他人のように過ごしていた。だから春臣がただただ憎いと言う感情は中学の頃から一切変わることはなかった。    だが、それと比例するように春臣に異様に執着して交わしてきた会話全てをメモしては眺め見る気狂いさも自覚していた。ほとんど会話がなかったこともあって同じような内容の数々。それでも辞めることはできなかった。  それが長期ロケになり春臣と接する機会が増え、また共演シーンで勝手に錯覚して舞い上がっては馬鹿みたいに落ち込んで。  拗らせている期間が長かったからか、春臣との接し方がわからなくなってしまっていた。  元々自分が無愛想なのもわかっていたが、正直愛想良くするということがよくわからなかった。  愛想をよくする=常に嘘をつくという方程式が自分の中で確立しているのだ。  でもこの時ばかりは自分の愛想の無さを悔いていた。  もしも憎むのではなく愛情を向けていたら春臣は自身のことをうざがりながらも優しくしてくれたかもしれない。そして仲が深まればあの共演シーンのように自分のことを好いてくれるかもしれない。  そんな幻想を抱きはじめてる自分に気がついてからは長期ロケの間に計画していた復讐の内容が継続できなくなってしまった。  春臣からすれば復讐を始めた相手が突然静かになり不気味がっているかもしれない。  今更、ここまできて遅すぎる。そうわかってはいたのだが、思わずにはいられなかった。  “春臣に嫌われたくない” 不器用な自分がもどかしい。そして夢を抱き続ける自分はやはり馬鹿であった。

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