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4.運命
外に出ると柊生が、あ、そう言えば…と
何か思い出したように立ち止まる。
和真をみると寒そうに肩をすくめているので
先に車に乗ってなよ、と言って、リモコンキーで
少し離れた所にある車の鍵を開けた。
「いや、俺、こっから電車で帰りますよ」
和真は遠慮して断った。
「は?この時間にどうやって?」
「…駅前のファミレスで時間潰して
電車動いたら帰ります」
「アホか!今さら 何 変な気使ってんだよ!
いいから 黙って乗ってなさい」
柊生は有無を言わさず和真の背を押した。
和真は、くいさがる気力もなく、ためらいがちに
歩きだす。数歩 歩くと立ち止まり、傑に向かって
会釈をしてから車にのりこんだ。
「根岸くんフェロモン漏れすぎてるよな」
和真が車に乗り込むのを見届けて柊生が口を開く。
「そうだった?そういえば触るとくすぐったそうに
してたけど…あれ、そういうことかな?」
それを聞いて柊生は何か疑うように、目を細める。
「…傑くん 本当に何も感じなかったの?」
「俺はバース科医だから、強い抑制剤飲んでるし
よほどの事がなければ フェロモンに酔うことは
ないな~…
ってゆうか、柊生君そんなんで送るとか大丈夫?
レイプで訴えられるとか、やめてよ」
「人をケダモノのように言うのやめなさい」
そう言ってから、チラリと和真の方を見る。
「普段は薬効きやすくてトラブった事ないらしい
俺に指摘されて慌てて、もう1錠飲んでたけど
大丈夫かな?」
「何飲んでたかにもよるけど、今の状態見る限り
大丈夫だよ。どちらかと言えば、もう1錠飲んだのに
それが効いてない事の方が心配だよね」
「だな」
「まぁストレスとか体調不良で一時的に効きにくく
なったりする人もいるし、何ヵ月も通院してみないと
なんとも言えないよ」
傑の言葉に、そっか、と柊生の声のトーンが下がる。
「あんな状態じゃ外出もできないよな、危なすぎる」
独り言のように呟いて、いつになく過保護な顔を見せる
友人に、傑は不安を覚えた。
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