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6.衝動

「さっき連絡があって、バイク…急いでも1週間後に なるらしい。直り次第 免許証の住所に届ける事に してるけど、大丈夫?」 「大丈夫です。ありがとうございます」 「いや、今回の事本当に申し訳なかった」 柊生がテーブルにつきそうなほど深く頭を下げた。 「とんでもない、おれこそ乗っちゃダメなのに 乗ってたせいで、ごめんなさい」 ふたりで頭を下げあって、謝り合戦をして お互いの目があって、思わず笑ってしまう。 「なんだこの状況」 柊生は、ハハハは、と声を上げて笑った。 会ったばかりなのに、相手はαなのに 発情期で薬も効いてないのに… 全てどうでもよくなるような、全て忘れてしまうような 柊生の作ってくれる空気は心地よかった。 和真は夢の世界から帰るような気持ちで 部屋にかかっている時計に目をやった。 11時になろうとしていた。 「…さぁて…そろそろ帰ります」 和真の言葉に柊生が驚いた表情を見せる。 「え、何か用事?」 思ってもみない反応に和真も驚く。 「いや、何もないですけど…あんまり長居しても 申し訳ないかなって、携帯もきれてるし」 「なんだ、早く言えよ充電器貸すって。機種は?」 柊生は言いながら立ち上がる。 「iPhoneです…って、いやそうじゃなくて!」 和真が困って慌てているのを、柊生は、ん?と 不思議そうな顔で見つめてくる。 「こんなに甘やかされたら困ります」 「俺甘やかしてた?」 「甘やかしてた!ドラえもんかってくらい 言ったら何でも出てきて」 それを聞いた柊生がぶっと吹き出す。 「初めて言われたけど、悪くないね。ドラえもん」 そう言って笑った顔があんまりにも優しくて あんまりにも綺麗で、和真は見ていられなくなって 思わずテーブルに顔を伏せた。 体が一気に火照ってきて 目眩がする。 ー まずい…まずい!まずい! 自覚するほどのヒートなんて久しぶりだ 本当に薬が効いてない!? 「どうした!?大丈夫か?」 突然突っ伏した和真を心配して、柊生があわてて 駆け寄ってくる。

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