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…
和真は黙っている。無反応だ。
柊生は面白くなくて、和真の腹の前で巻き付けていた
手を、服の下に滑り込ませて、耳朶を口に含んだ。
「こら、勃っちゃうからヤメテ!」
和真は笑いながら、体を揺すって抵抗する。
「いいよ、じゃ、やっぱり先にしちゃおうか?」
「しません!もう準備しちゃったし」
ピーピー
タイミングよくレンジも温め終了の合図が鳴る。
「ほら、キミちゃんのチキンもできたって」
ご飯よそって、と指示されて
「つまんないの」
と、こぼしつつ和真を離し、素直に ご飯をよそう。
「子供か」
ふてくされたような態度を見て
笑いながら和真がつっこんだ。
「明日アパート行ってくるよ」
食事が始まるとすぐ、和真が切り出した。
「え、ひとりで? 大丈夫?」
「もう、1週間たつし大丈夫だよ…たぶん」
「じゃぁタクシーで行けば?」
柊生が真剣な顔で言ってくるので
和真は呆れたようにため息をつく
「過保護過ぎ~
無駄づかいやめて~電車で行くから平気!」
「む、無駄…?」
柊生が食べる手を止めて、目を大きくする。
突き放されたように言われてショックだった。
「ヤバそうだったら 無理しないからさ
俺の事で、そんなに浪費しないでよ」
ー 浪費…そんな風に思ってたのか…
あからさまにシュンとなる柊生を見て
和真はスプーンをくわえたまま
ー ちょっと言い方が悪かったかな?
と、そわそわしてくる。。
何かフォローしなければと、考えていると
柊生が小さな声で
「俺、パパだからいいんだよ…」
と、つぶやいてサラダに添えられたトマトを
パクっと食べた。
「声小っさ!説得力もないし」
和真がお腹を抱えて笑い出す。
「俺は!俺の使いたいモノに時間とお金を
使ってるだけだよ。必要だと思うものなら
いくら使ったって惜しくないし
お前に心配されなくても ちゃんと冷静に
計算できてるよ」
柊生は食べる手を止めずに、いつになく早口で
まくし立てて、途中モゴモゴと何を言ってるのか
ハッキリ聞き取れなかったけど、
柊生の言いたいことは ちゃんと和真に伝わった。
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