2 / 3
校長
「やっほーい!久しぶりー!こんなに立派に、
格好良くなってー!」
…………………。想定外だ。
「…ふふっ。お久しぶりです。」
「あんなに小さかったのに、早いねぇ~」
目の前にいる男は、若い上に童顔で、さらに、
テンション、声音、その他もろもろが、
より彼を若く引き立たせていた。
……こんなのは、想定外だ。
もっと、こう……厳格な人かと思っていた。
「クスクスっ。今日は、ようこそいらっしゃいました。父もたいそう楽しみにしてお待ちしております。」
「君の父上に会うのも久しいなぁ。」
…にしても、本当に30代なのか?
肌も綺麗で、皺(しわ)もほとんど見られないからなのか?
…コツコツコツコツ……
「やぁ、誠人。ずいぶんと久しいな」
軽快で、少し急いているかのような靴の音が響いたと思えば、
父が俺達がいる玄関まで来ていた。
「おお~っ!彰仁(あきひと)ー!」
と言うなり、ぎゅっと抱きつく。
……スキンシップが激しいのか、なんなのか、全くわからない。
「おいおい、ここは日本だぞ?
アメリカ気分を捨て去るんだな。」
と、言いつつも、顔とオーラから嬉しさが滲み出ている。
俺は、しらけた目を向ける。
普段、父はこんな人ではない。
俺が知るのは、冷たさを固めた…恐ろしい刃物のような人物。
だが、久方ぶりの友人に、甘い雰囲気がだだ漏れしている。
ともだちにシェアしよう!