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校長

「やっほーい!久しぶりー!こんなに立派に、 格好良くなってー!」 …………………。想定外だ。 「…ふふっ。お久しぶりです。」 「あんなに小さかったのに、早いねぇ~」 目の前にいる男は、若い上に童顔で、さらに、 テンション、声音、その他もろもろが、 より彼を若く引き立たせていた。 ……こんなのは、想定外だ。 もっと、こう……厳格な人かと思っていた。 「クスクスっ。今日は、ようこそいらっしゃいました。父もたいそう楽しみにしてお待ちしております。」 「君の父上に会うのも久しいなぁ。」 …にしても、本当に30代なのか? 肌も綺麗で、皺(しわ)もほとんど見られないからなのか? …コツコツコツコツ…… 「やぁ、誠人。ずいぶんと久しいな」 軽快で、少し急いているかのような靴の音が響いたと思えば、 父が俺達がいる玄関まで来ていた。 「おお~っ!彰仁(あきひと)ー!」 と言うなり、ぎゅっと抱きつく。 ……スキンシップが激しいのか、なんなのか、全くわからない。 「おいおい、ここは日本だぞ? アメリカ気分を捨て去るんだな。」 と、言いつつも、顔とオーラから嬉しさが滲み出ている。 俺は、しらけた目を向ける。 普段、父はこんな人ではない。 俺が知るのは、冷たさを固めた…恐ろしい刃物のような人物。 だが、久方ぶりの友人に、甘い雰囲気がだだ漏れしている。

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