12 / 18

第7話◎二学期も波乱続き!?

楽しかった夏休みも終わり 今日から二学期だ。 一年間の中で一番長い学期だ。 二学期は平和でいたいと 願っていたがそれは 無理だと一週間後に知ることとなる。 それは何故かというと 二人のファン達にバレたからだ。 一体、何処から情報を 仕入れてくるんだか…… **一週間後** 俺達は今、ピンチだ。 こっちは二人だが 向こうは四・五人だ。 「ちょっとあんた達、 的木先生と雪村先生と 付き合ってるってどういうことよ❢❢」 リボンの色で三年生だとわかる。 先頭に立って話す その先輩はいかにも リーダー的な女子だった。 「別にどうでもこうも それが真実ですよ」 怯むことなく言ったのが 気に食わなかったのか その先輩は俺をひっぱたいた。 流石に取り巻きの女子達も ひっぱたいくとは 思ってなかったみたいで 驚いている。 「気は晴れましたか?」 ひっぱたいかれても平然としている。 ただ、今日は教官室に 行けないなぁと思った。 こんな顔で行けば 雪村と亮に理由を訊かれるだろう。 そして、俺をひっぱたいた先輩も 取り巻きの先輩達も黙ったままだ。 やがてチャイムが鳴ったため したなく教室に戻ることに なったのだが、帰ると決めていた。 「貴也、大丈夫?」 慎が心配そうに近寄ってきた。 「大丈夫だけど、俺は帰る」 午後一は雪村の国語なのだが こんな顔で会いたくない。 「わかった、僕も帰る」 そんじゃぁ、二人で帰るとするか(笑) 教室に着き、帰る準備をしていると 珍しく染野が声をかけてきた。 「帰るのか?」 「あぁ、雪村には 適当に言っといてくれ」 って、俺には返事しないのな。 「僕も帰るから、後お願いね」 染野が少し反応した。 「しょうがねぇな」 こいつ、相変わらず 慎には弱いよな…… 「じゃあな」と染野に手を振って 二人で教室を出た。 その週の土曜日、 当然といえば当然だが あの日のことを説明しろと 物凄い剣幕で詰め寄られた。 勿論、俺と慎はだんまり(苦笑) 「なぁ、そんなに 言いたくない理由なのか?」 そりゃそうだ。 二人のファンの女子に ひっぱたかれたから 早退したなんて言えない。 「どうしても言いたくない?」 亮も雪村も優しいから 尚更言えない…… 「笹山は知ってんだろう?」 俺が答えないとわかると 慎に話しを振ったが慎は答えない。 「貴也が言えないことを 僕が言えるわけないじゃないですか」 本当、いい奴だよな。 ひっぱたかれたあの日、 家に帰ってから鏡を見たら 案の定腫れていた。 四人の間に重たい空気が流れる。 「ねぇ貴也、俺達が 関係してるんだよね?」 げっ、亮は感がいいな…… 内心慌てるが それを表にはださない。 さっきは二人な優しいから 迷惑になるんじゃないかと 思ったけど、言っていいんだろうか? 隣にいる慎に無言で 答えを求めた。 俺の言いたいことが わかったみたいで 「大丈夫」と言った。 「わかった、話す」 一昨日、何があったのか 慎と二人で話した。 ★昼休みに食堂に 行く途中で三年生を含む 女子達に囲まれたこと。 ★三年の先輩に亮達と 付き合ってるのかと訊かれ 素直に答えたら ひっぱたかれたこと。 やっぱり、 そういう表情(かお)になるか(苦笑) 「だから、染野に伝言を 頼んで帰ったのか……」 二人は何も悪くない。 「そうだよ」 さっき程ではないが 依然、空気は重いままだ。 長いようで短い沈黙を 破ったのは亮だった。 「何ですぐ言ってくれなかったの?」 返す言葉がない。 「ごめん……」 泣きそうな表情(かお)した 俺に亮が慌てて謝った。 「ごめん貴也、 責めているんじゃないんだ」 それは、わかっている。 俺が泣きそうなったのは 嬉しかったからだ。 「責められているなんて思ってないから」 そんなこと、 これっぽっちも思っていない。 「心配してくれたことが嬉しかったんだ」 「貴也」 俺達を囲んでいたファンクラブの連中は 別れろと目で訴えていたが 何があっても俺達は別れない。 これなら一学期の 染野のGAMEの方が 断然楽だったな。 「守ってやれなくて悪い」 雪村も心配してくれてるんだな。 「心配してくれて ありがとうございます」 俺が言う前に慎に言われたな(笑) 「慎、明後日からは 一時間目が終わったら 食堂に行くぞ」 とにかく、一人にならないことだ。 「いいよ。 また囲まれるの嫌だもんね」 友達にも恋人にも恵まれて 俺は幸せ者だよな。 あの日から早一ヶ月。 教官室に行けないのは 仕方ないと諦めて 休み時間や昼休みは トイレ以外は教室にいることにした。 こういう時、携帯があって よかったと思った。 十月半ば、中間テストが始まった。 午前中で終わるため、 勉強も兼ねて昼食は 慎ん家でご馳走になることになった。 まぁ、帰って一人で 作るのも面倒だし有り難い。 「亮に会いたい」 テストは仕方ない。 ただ、半月近く 本人達に会えていない。 「僕も雪村先生に会いたい」 慎の部屋で 二人でため息を吐いた。 下手に動くと亮達の立場が悪くなる。 「ねぇ貴也」 わからない問題でもあったか? 「ファンの子達は 的木先生ん家知らないよね?」 違ったか(苦笑) 言われてみれば 家に行ったことは 指摘してこなかったな。 「多分、知らないんじゃないか」 「テスト終わったら行ってみるか?」 提案すると嬉しそうに頷いた。 テスト期間はあと三日。 「とりあえず勉強しなきゃな」 明日は苦手な数学がある。 「そうだね」 **三日後** 今日はテスト最終日で金曜だ。 昼食をご馳走になった後 俺ん家に泊まるという名目で (本当は亮ん家に行くんだけどな) 夕方、俺ん家に帰って来た。 「突然行ったら亮達驚くかな(ニヤリ)」 「かもね(笑)」 そんな会話をしながら 駅に向かい、電車に 揺られること十五分。 亮ん家がある駅に着き タクシーに乗った。 マンションに着き、インターフォンを鳴らした。 「はーい」 「俺だけど開けてくれないか?」 一瞬の沈黙。 俺が正確には俺達が 来ると思ってなかったんだろう。 「えっΣ(๑°ㅁ°๑)!? 貴也!?」 凄い驚きようだな(笑) 「いらっしゃい」 玄関を開けてから 更に驚いた表情(かお)をしたのは 俺の隣に慎がいるからだろう。 「笹山君も一緒だったんだね」 俺一人だと思っていたんだろう。 「こんばんは」 律儀に慎が挨拶をした。 「とにかく上がって」 今年は珍しく残暑が続いていて 十月半ばなのに蒸し暑い日がある。 「お邪魔しまーす」 二人で言って中に入った。 「雪村は?」 ソファーに座りなが訊いた。 「今、電話したからすぐ来るよ」 話していたら玄関が開く音がした。 「静、いらっしゃい」 「雪村、久しぶりだな」 学校ではあまり話せていなかった。 俺に続いて慎も挨拶した。 「お久しぶりです」 ここ一ヶ月弱の寂しさを ぶつけるように雪村に抱き付いた。 「久しぶりだな」 学校では見せないような 優しく顔をした雪村がいた。 「なぁ亮、今日泊めてくれないか?」 最初からそのつもりで来たんだけどな。 「勿論、笹山君も泊まってくでしょう?」 当然のように亮が言うと 雪村が口を挟んだ。 「笹山はうちに泊めていいか?」 何で俺達に訊く? 抱き締めている本人に訊けよ。 「貴也、どうする?」 いや、だから、本人に訊け❢❢

ともだちにシェアしよう!