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第一章・8話

   清水は、公彦と同じ駅で電車を降りた。  そして、すぐに話しかけてきたのだ。 「藤井くんでしょう? 中学で一緒だった」 「覚えててくれたのか?」  天にも昇る心地。  さらに、二人は同じ大学に通っていることが解かった。 「教育学部と工学部じゃ、逢わないよね。棟も離れてるし」 「でも、今は一般教養の講義も受けてるだろう。何か一緒の科目はないのか」  まだ一年生なので、ゼミに入る前の教養講義を受けている。  いろんな学部の人間が入り混じる、数少ない機会だ。

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