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第一章・33話
「え? これからバイト?」
「あぁ。今夜は遅くなる」
公彦のアパートにやってきた葵は、ぷぅと頬を膨らませた。
「増やしたろ、バイト。どうして? 会える時間、少なくなっちゃうじゃん」
「車が欲しくなったんだ。中古でもいいから、走れるものを買いたい」
先に寝てていい、と言って、公彦は葵をアパートに残して出かけた。
自動車が欲しい。
そして、隣には葵を乗せて走るんだ。
海を見に行こう。
夜景を楽しもう。
ちょっと遠出して、インスタに載ってるようなレストランへ行ってみよう。
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