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第三章・最終話

『スペシャルサンクス・柳瀬 美知さま! この本を、君に捧げます。遠藤 秀郎より愛をこめて』 「せ、先輩。これって」 「俺と……、付き合ってくれないか?」  嬉しい、と美知は本を胸に抱きしめた。 「おいおい、抱きしめるものが違うだろ?」 「え?」  見ると、秀郎が両腕を広げている。  美知はその胸に飛び込み、秀郎の身体に腕を回してしっかり抱きしめた。  抱き返してくる、秀郎の腕が温かい。  二人の恋は、白いケント紙をバラ色に変えていた。

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