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第一章・12
迷うような素振りを見せた空だったが、思い切って打ち明け始めた。
「僕の父さん、借金があって。今度返さなかったら、殺されるんだ」
「殺される!?」
「生命保険に入って、死ぬんだ。それで払われるお金で、借金を返すんだ」
だから、と空は演奏を続けながら話す。
「だから、父さんを死なせないために。僕を売ることにしたのさ」
「売る、って」
「オークションに出て、できるだけ高値で買ってもらうんだ。少しでも、借金の足しにするために」
「……」
自分と同じ歳の少年が、父の借金のために身売りする。
あまりに過酷な外の世界に、雅臣は震撼した。
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