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第一章・14
その日の晩、雅臣は父に面談を申し出た。
「少しでいいのです。お時間は取らせません」
最近あまり自分と話す事のなくなった息子が、珍しく押してくる。
「要件を、聞こうか」
「僕に1千万円、預けてくださいませんか?」
ほう、と父親は軽く驚いた。
まさか、金の無心とは。
「使い道を、聞こうか」
「人間を一人、買いたいのです」
ほほう、と父親は驚いた。
まさか、人身売買に手を染めるとは。
興味を惹かれた父親は、身を入れて聞き始めた。
「その人間は、神家に何をもたらす?」
「優れた音楽の才能を持っています」
雅臣は、必死だった。
何とか空を救おうと、食い下がった。
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